2009年4月28日火曜日

『古代ギリシャの音楽』 グレゴリオ・パニアグワ&アトリウム・ムジケー古楽合奏団



前5世紀~後4世紀辺りの古代ギリシアの音楽を、わずかに残された資料から復元したものである。
楽器も絵画などを元に復元したものだ。
楽譜は欠損だらけで、しかも正確な読み方はわからない。
したがって、想像の部分もかなりあるのだが、試みとして面白い。

かくして復元された古代ギリシアの音楽は、なんとも不思議な感じのものだ。
音数は少なく、メロディもあまり抑揚がなく単調。
リズムもあるんだかないんだかよくわからない。
ボーカルは朗読か、きわめて平坦な発声による歌。
なにより詩の内容を伝えることを目的としている感じ。
その内容は、喜劇や悲劇あるいは神への賛歌。
中近東っぽい感じがしたり、東南アジアっぽい感じがしたり、お経っぽい感じがしたり、日本の童謡みたいな感じがするときもある。
現代音楽っぽくもある。
つまり、なんだかよくわからない。
聴いているうちに結構面白くなってくるが、毎日聴きたくなるようなものではない。

しかし、このアルバムの魅力は、音楽的、学術的な部分だけにあるわけではない。
音がいいのだ。
オーディオ評論家の長岡鉄男氏も優秀録音盤として絶賛していた。
ちなみにアナログディスクの方が音が良いそうだ。
楽器の音、声、その他の物音が、すばらしくリアルに聴こえてくる。
エコーが豊かでとても美しく、それなのに元の音がボケていない。
他の普通の音楽のCDで聴くことができる音とは明らかに違う、不思議な感じだ。
できれば良質のオーディオで、ある程度大きい音で聴くことをお薦めする。

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