2009年4月27日月曜日

カルピス

妻がカルピスを買ってきた。
カルピスを飲むのは久しぶりだ。

子供の頃、家で飲む甘く冷たい飲み物といえば大抵カルピスだった。
親戚の家でも、友達の家でも、どこでもカルピス。
当時のカルピスの売り上げはかなりのものだったのではないだろうか。
当時の冷蔵庫は小さかったので、常備するのにスペースをとらない濃縮タイプのカルピスは重宝されたのだろう。
当時のコーラなどの炭酸飲料はビンに王冠の栓だったので、現在のペットボトルと違って開けるとすぐに飲まなければならなかったし。
また、乳酸菌飲料のカルピスは健康によさそうなイメージもあったのかもしれない。
当時は100%果汁のジュースなどはまだあまり見かけなかった。

類似品で森永コーラスというのがあった。
たまに親がカルピスではなくコーラスを買ってくると、ちょっと残念だった。
もちろんコーラスも美味しくてカルピスとほとんど変わらなかったのだが、わずかな風味の違いがなんか許せなかった。
どうも僕は嗜好品には多少保守的な傾向があるようで、あるものが気に入ると、その類似品では駄目なのだ。
同様に、朝食に食べていたシリアルはケロッグで決まりであり、シスコーンでは駄目だった。
もっともこれは、ケロッグのおまけのせいでもあるのだが。

フルーツカルピスというのもあった。
これは普通のカルピスとかなり違うものなので、却って大丈夫だった。
昔はオレンジとグレープしかなかったと思うが、最近ではピーチとかいろいろな種類があるようだ。
うちの親はフルーツカルピスはあまり買ってこなかった。
値段が高かったのだろうか。
僕が普通のカルピスの方がいいといったのかもしれない。
しかし、たまにお中元でいただくと新鮮な感じでうれしかった。

カルピスはやはり暑い盛りに飲むのが美味い。
メーカーも、やはり冬になると売り上げが減るのであろう、「冬はホットカルピス」といったCMを打っていたが、どうにも無理があったと思う。
やはりカルピスは夏の飲み物だ。
麦わら帽子や虫取り網がよく似合う。
遠足で水筒に入れくる奴もいたが、僕はあれも好きじゃなかった。
ぬるいカルピスなんて飲みたくない。
やはり氷を入れてキンキンに冷えてなくちゃ。

大人になってからは、冷蔵庫にカルピスが常備されているようなこともなくなったが、旅先などで咽喉が渇いたときには、カルピスウォーターやカルピスソーダを飲むことも多い。
しかし、カルピスウォーターは自分で作るカルピスよりもかなり薄いので若干不満がある。
カルピスソーダも美味いが、あれは別の飲み物だ。

やはりカルピスは自分で濃さを加減できるのがいい。
原液を薄めて作るカルピスは、濃さを一様にするために撹拌させる必要がある。
また、氷が溶けてくると上のほうが薄くなってきてしまう。
そこで昔はどの家庭にも、プラスチック製のマドラーのようなものがあった。
うちにはたしか、先が小さいスプーン状になっているもの、先に玉状のものがついているもの、先に2枚の円形の板が十字に組み合わさったものが付いているものがあった。
プラスチック製だから、多少乱暴にかき混ぜてもコップに傷が付かない。
あの手のものは今でも手に入るのだろうか。
あれば是非手に入れたい。

ところで、妻が買ってきたカルピスは紙パックだった。
贈答品用のもの以外はすべて紙パックになってしまったようだ。
贈答品用のものも、昔のような紙に包まれていたものとはずいぶん違うように見える。
昔の瓶のものの容量は633mlだったようだから、今の500mlの紙パックよりは多少多い。
しかし、容量の差や、僕が相対的に大きくなったのを考慮しても、紙パックは瓶に比べてずいぶんコンパクトになってしまったように感じられる。
それはそのままカルピスの存在感の低下を表しているようにも思えてしまう。

最近では多種多様な飲料が発売され、自動販売機やコンビニで手軽に買えるようになり、いちいち自分で希釈しなければならないカルピスは、昔ほどは売れなくなってしまったようだ。
物議を醸した黒人マークもなくなり、瓶は紙パックに変わった。
僕も暑いときにはまずビールというようなオジサンになってしまった。
しかし、久しぶりに飲んだカルピスは、夏休みのある日の午後、炎天下で遊んだ後に扇風機で身体にまとわりつく熱気を吹き飛ばしながら飲んだあのときと同じに、甘酸っぱくてとてもおいしかった。

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