2009年4月29日水曜日

横浜

「近くて遠い街」
僕にとって横浜とは常にそういう存在だった。
ここでいう「横浜」とは、観光客や買い物客が集まる関内周辺のことである。

僕は生まれは東京、育ちは神奈川である。
生まれてすぐに川崎市多摩区に引っ越してそこで育った。
多摩区の中で2回ほど引っ越したが、すぐ近所だった。
2年前まで住んでいたマンションも多摩区の隣の麻生区で、しかもほとんど多摩区と麻生区の境界辺りだった。
どの家も最寄の路線は小田急線。
つまり僕はこれまでの人生の大部分の間、川崎市西部の小田急線沿線の住人であったのだ。

川崎市と横浜市は隣接している。
東京都と横浜市の間に川崎市が挟まっている感じだ。
僕が住んでいたのはつねに比較的東京寄りだったが、川崎市は南北に短いので、自転車でちょっと行けば横浜市に入れる。
しかし僕は「横浜」に数えるほどしか行ったことがないのだ。

隣の市なのになぜ行く機会がなかったのか?
僕が子供の頃住んでいた家の最寄り駅は向ヶ丘遊園だったが、登戸も近かった。
登戸から関内まで行くには、南武線で川崎まで行って京浜東北線に乗り換えるか、南武線で武蔵小杉まで行って東急東横線に乗り換えて横浜まで行き、横浜市営地下鉄に乗り換える必要があった。
どのルートで行っても一時間近く掛かった。
しかし、登戸から新宿まで小田急線で20分強で行くことができるのである。
渋谷までも下北沢で京王井の頭線に乗り換える必要があるが、同じくらいの時間しか掛からない。
つまり、横浜に遊びに行くよりも東京に遊びに行く方が速かったのだ。
(ついでに電車賃も安い!)

うちは川崎市のかなり西寄りで、関内は横浜市の東端である。
川崎市は東西には長い。
直線距離もある上に、上記のように経路は折れ曲がっている。
時間が掛かるはずだ。

そんなわけで、買い物に行ったり遊びに行ったりするのはもっぱら新宿や渋谷で、横浜に行くことはほとんどなかった。
ちなみに川崎市の中心部である川崎駅近辺は、今でこそ地下街のアゼリアなどができて綺麗に整備されているが、昔はやくざが多い吹き溜まりのような雰囲気だったので、遊びに行く先の選択肢にはならなかった。

横浜は遠い存在ではあったが、子供の頃親に連れられて何度か行った。
中華街や、海辺に古い洋風の建物が立ち並ぶその町並みには異国情緒が漂い、子供心にも東京の街とは一味違う趣を感じさせるものであった。
あるホテルのレストランでビーフシチューを食べた記憶がある。
どこの店かはもう忘れてしまったが、古風なインテリアは昭和初期や大正時代のロマンを感じさせるものであり、そこで食べるビーフシチューはなにか特別なもののような感じがした。

「近くて遠い街」であった「横浜」。
東京に引っ越してまた少し遠くなってしまったが、そのうちゆっくり散策したいものだ。

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