山下達郎は、筆者が中学生のころからのファンで、もっとも敬愛しているアーティストといっていい。
今回、達郎にはあまりなじみがない妻と一緒だったのだが、気に入ってくれたようでよかった。
ライブの詳細は、ネタばれ禁止とのことなので、詳しくは書かない。
ライブでは結構がっかりすることも多い。
音が悪い、演奏が下手だ、アルバムとアレンジが違う。
しかし、達郎のライブでは裏切られたことがない。
これほど完成度が高いライブが他にあるだろうか。
アルバムと同様の高い完成度で、さらにアルバムをはるかに上回る勢い、迫力。
一曲目のイントロでいきなり鳥肌が立つ。
3時間を超える長丁場の間、飽きることがない。
山下達郎というと、夏のイメージや、クリスマスイブの印象が強く、さわやかなニューミュージックだろうという印象を抱いている人も多いかもしれない。
しかし、達郎はロックである。
これはライブに来てもらえばよくわかっていただけるだろう。
残念なことに、最近はあまりライブをやらなくなって、今回ももしかするとこれが最後の機会かも、と、心配していた。
しかし、これからはもっと頻繁にやるつもりであるという言葉を聴けた。
大宮ソニックシティは今回始めて行ったが、ホール自体は広すぎず、なかなかいい感じだ。
しかし、グッズ売り場が最低だ。
延々と行列しており、今回はツアーパンフレットを買うのはあきらめた。
実は4月の神奈川県民ホールのチケットもとってある。
何度か申し込んでも取れなかったので保険として申し込んであったのが当たってしまったのだ。
しかし取っておいてよかった。
中学生の頃、RIDE ON TIMEではまってから(それ以前にJAL沖縄のCMが気になったりしてはいたが)、ずっと聴き続けており、ライブにもよくいった。
レコードもすべてそろえ、磨り減るほど聴いた。
CDでももちろん買いなおした。
サウンドストリートも毎週録音して聴いた。
達郎のラジオ番組によって聴く音楽の幅も広がった。
最近の曲が悪いというわけではないが、やはり好きなのは昔の曲。
曲の良し悪しだけでなく、思春期の頃に聴いていたということも大きいのだろう。
今回のライブでは、昔の曲も多く演奏してくれた(もちろん前回のRCA/AIRイヤーズの時ほどではないが)。
達郎の特に昔の曲は、なにか不思議な、しかしどことなくリアルなイメージが湧いてくるものが多いような気がする。
思春期の頃は特に、そのイメージの世界にあこがれに近い感情を感じていた。
今回のライブでは、すばらしい演奏によって今聴いている現在の自分に湧き上がる感覚、そして、昔同じ曲を聴いていた頃に感じていた感覚が甦ってきて、重なり合って、異常なまでの感動を覚えた。
これはやはり思春期の頃に愛聴していた音楽だからなのだろうか。
これから知る音楽では同じような感動は味わえないのかもしれない。
それは少し寂しいことだが、思春期の頃に数多くの音楽に接することができたのは幸いだった。